【4. リモージュ2日目(8/19(木))】
Part2

 16:30に車でホテル出発。リモージュからサン・ティリエまでは約50km、車で約30分程度だという。運転してくれるスタッフはひげ面だが優しげな 人(*14)
自転車レース渋滞
自転車レースで大渋滞

 サン・ティリエまでの風景は、建築物を除けばどこか阿蘇に似ている。のどかで広い草原。
 もうすぐ着く、という段階で突然目の前が渋滞。何が?と前方をみると、遠ざかっていく自転車の大群。自転車レース「Tour de Limousin」にブチ当たったらしい。リムーザン地域全域で行われるこのレース、いつまで続くのかわからないらしい。さすが自転車はヨーロッパで人気 あるみたいで。
 渋滞の先頭が動き出す気配がないので一度車から降りてみる。後続は続々やってくる。怒って引き返す人もいる。10分ほどして動き出す。ほどなく車はサ ン・ティリエの街中へ。

運転のスタッフ曰く。「コンサートは室内でやる?野外でやる?」
どうやらまだ決まってなかったらしい。日本から事前に問い合わせしてもわからなかったのは道理である。
晴れてはいたが天候は不安定。室内の方が安心、ではある。しかし、NABEO山本代表曰く「せっかくヨーロッパに来たら一度は野外でやったほうがよい」。 とりあえず一度会場を見てから考えることとする。
17時過ぎに到着。こじんまりとして綺麗な街並み。
まず室内。図書館のホールとかで、小さいけど感じは悪くない。
次に野外。公園の中を通っていくと、旧市街(というか、きっと中心街)の駐車場の一角に仮設のステージが組んであり、座席の椅子が積み上げられている。
迷ったが、結局野外でやることに。夕食は18:30から、ということで、ホールで少し練習。
「白馬」
ホテル兼レストラン「白馬」

夕食は街中のレストランへ。「赤ベコ」に対してこっちは「白馬」。奥のテーブルに通される。
生ハムとメロンの前菜、メインは、デザートはリンゴのタ ルト、それにコーヒー。
本番前なのに、当然ワインがボトルで付く。しかも、これがめっぽううまいボルドーの赤。
本番があるのがうらめしい。泣く泣く1杯でやめる。NABEO山本代表は恍惚として飲んでおられる(*15)。羨。
「料理は田舎の方がうまい」。真理である。
本番があるため、メンバーは早めに店を出る。一度ホールへ戻り本番衣装に着替え、楽器を持って会場へ。さっきまで駐車場だった会場には椅子がきちんんと並 べられている。その数は…200くらいか?
控室はステージ横の建物の1階。

通常、われわれは1〜2曲毎にメンバーが交代で曲紹介する、というスタイルをとっているが、今回はわたしが1人で仏語原稿を読みながらやる、ということに していた。
1989年に福岡で初めて聴いたスローカー・カルテットだってメモみながら日本語でしゃべってたことだし(*16)。

コンサート開始は20:30。やっと陽が沈んだか?という程度でまだまだ明るい。
観客は5〜6割、という感じ。家族連れや年輩のご夫婦なども。やってればそのうち人がやってくる、ものらしい。
時間となる。
演奏準備
演奏準備(寺本:イメージトレーニング〜爆睡)

野外ステージ
ヨーロッパの夏
Program
2004/8/19
Saint-Yrieix


1."Achieved is the glorious work" from "The Creation" / F.J.Haydn

2.Dances / M.Praetorius(arr.T.Holch)

3.From "Aus Horbergs Zeit" Suite Op.40 / E.Grieg(arr.M.Teramoto)

4.Fugue from Toccata D-minor BWV.913 / J.S Bach(arr.R.Myers)

5.Suite / D.Dondeyne
(休憩)
6.Songs for Maria and Tony from "Westside Story" / L.Bernstein(arr.M.Teramoto)

7.Cantique de Jean Racine Op.11 / G.Faure(arr.M.Teramoto)

8.Capriccio / R.Narimoto

9.Stardust / H.Carmichael

10.When the saints go marching in / (traditional)

(アンコール)
11.ゆうやけこやけ

12.夜想曲 / N.Tcherepnin

13.Kathy / B.E.Lynn
演奏準備
演奏準備(右田:仏語カンペチェック)

マダムと
楽屋を訪ねてくれたマダムと
観客の反応はあたたかい。
組曲の間でも、気に入ったのか拍手してくれる。
しかし、このひとたちは、舞曲の8分の6拍子のリズムに合わせて正確に手を動かしたり、曲紹介の時に「ああ、あれか」みたいにうなずいたり隣の人と話をし たりしているのである。そう。音楽がわかっているのである。
ある意味、これは、コワイことである。われわれは、西洋音楽の本場へやってきて、西洋音楽を演奏している日本人なのである(*17)。

とはいえ、いい観客のいい反応に、基本的には気分良く演奏する。

休憩。
控室にやってきた山本代表から、観客の反応に対するわれわれの対応が硬い、という趣旨の指摘を受ける。もっとにこやかにしたほうがよいとのアドヴァイス。
そこへ1人の老婦人。何か気に入ったらしく、曲目を教えてくれ、とおっしゃる。手元にないので、後で渡す、と約束する。

後半。陽が沈んであたりはすっかり暗くなっている。気温が下がり、毛布をひざにのせたりフリースのようなものを着たりする人も。
フランス人の前でアメリカ系の曲をやっても反応が冷たいのではないか、というのは偏見である。「West side story」とか「When the saints go marching in」とか述べると、必ずどこかで「おお〜」という反応がある。
前半と比較して、後半の方がくだけた感じである(*18)た め、反応はよい。
あたたかい観客に感謝し、アンコールは3曲。「日本の子どものための歌だ」などというと、これも反応がよい。
偶然とはいえ、曲のいいとこで教会の鐘が鳴ったりして、それもまたいとをかしげである。
全て演奏を終わり、感謝の言葉を述べてステージを降りる。時計をみると22:10すぎ。
地元のご婦人方と挨拶を交わしたりしながら控室へ。そこへ先程の老婦人。約束どおり、紙に曲目を書く。メンバーの住所も書いてくれ、というから、併せて書 いて渡す。どうも地元の人ではなく、20kmくらい離れた街からダンナさんとやってきたらしい。
練習したホール、あるいは図書館の管理人(?)とおもわれるマダム(*19) がやってきて、「非常に良かった。ビールを飲んでいかないか」との申し出を受け るが、「申し訳ない。これからリモージュに戻らなければならない」と断る。残念至極。
車に乗ってサン・ティエリを出る。運転のスタッフはなんだか嬉しそうであった(*20)。「何年くらい一緒にやってるのか」とか「みんな仕事をしてる よう だが、いつ練習してるのか」とか盛んに聞いてくる。話が弾むのは楽しいが、夜道を高速で運転しながらずっとこっちを向いているのは非常にコワかったりす る。
ホテルに着いたのは23時過ぎ。スタッフに礼をいって部屋へ。
翌日も本番。しかも朝9時からベッケ氏のクラス。

(*14)自己紹介し た際に名前を聞いたのだが、おぼえられなかった。失礼。趣味でトロンボーンを吹いているらしい。同志。
(*15)2年前のエ プシヴァルはサン・ティリエが主会場だったらしく、毎日のように「白馬」で食って飲んでいたらしい。「またここに来るとは」という山本 代表の目はどこか潤んでいた。
(*16)比較の対象としては大それている。
(*17)あとから振り返ればこういうことを書いたりしているが、やってるときはそこまで深く考えていないものなのである。
(*18)一般的な常套手段ではある。
(*19)彼女とは翌日、リモージュの大劇場の前で再会し、握手を交わした。われわれの演奏を聴きに来てくれたのだろうか?
(*20)客席にいたわたしの配偶者によると、最初は「どんなことやるんだろう」みたいな感じだったが、だんだん嬉しそうになって聴いていた、らしい。